学校日記

💊 5年生 薬物乱用防止教室:薬の正しい使い方と薬物乱用の危険性を学ぶ

公開日
2025/11/25
更新日
2025/11/25

5年生

本校の学校薬剤師である上羽先生と摂南大学の大学生の皆さんを講師にお招きし、5年生を対象とした薬物乱用防止教室を実施しました。この授業では、薬の正しい知識薬物乱用の恐ろしさ、そして誘惑から身を守る方法について学びました。

1. 薬の基礎知識と体内で効く仕組み

まず、薬とは何か、そして私たちの体の中でどのように働くのかを学びました。

🌿 薬の役割:自然治癒力のサポート

  • 人間の体には、病気やケガを自ら治そうとする「自然治癒能力」が備わっています。

  • 薬は、この自然治癒能力がスムーズに働くようにサポートする役割を担っています。

  • 薬には、病気を治す治療薬(熱冷まし、鼻水を止める薬など)のほか、予防薬検査薬、さらには動物用医薬品や農薬など様々な種類があることを知りました。

💊 薬が体内で効くまでのプロセス

飲み薬が効くまでの過程は、「吸収・分布・代謝・排泄」の4つのステップで説明されました。

  1. 吸収: 薬の成分が主に腸から体内に取り込まれる。

  2. 分布: 血液に乗って全身に行き渡る。

  3. 代謝・排泄: 役目を終えた薬は体外へ排出される。

⏳ 用法・用量を守る重要性

薬の効果は、体内の薬物濃度によって決まります。グラフを用いて、以下の3つの濃度が説明されました。

  • 青の領域: 濃度が低すぎて、効果がない。

  • 緑の領域: 濃度が適切で、効果がある。

  • 赤の領域: 濃度が高すぎて、効きすぎて危険(中毒症状)。

薬は時間と共に排出されるため、常に効果的な(緑の領域の)濃度を保つために、「1日3回」などの用法・用量が定められています。指示通りに飲まないと、効き目がなかったり、逆に効きすぎて危険な状態になったりすることが強調されました。

2. 薬物乱用とオーバードーズの危険性

授業の核となる、薬物乱用と過剰摂取の危険性について深く学びました。

⚠️ 身近な物質にも潜む中毒の危険性

体に良いとされるものでも、過剰に摂取すると中毒を引き起こす例が挙げられました。

  • 食塩: カップ麺などに含まれる塩分は、摂りすぎると体調不良の原因に。

  • カフェイン: コーヒーやエナジードリンク(特に注意が必要)を大量に飲むと危険。

  • : 一度に大量の水を飲むことも「水中毒」となり、体に悪影響を及ぼす。

💔 過剰摂取(オーバードーズ)の恐ろしさ

  • オーバードーズとは、薬を指示された量より多く飲むことです。

  • 治すための薬が、逆に体を悪くし、最悪の場合は死に至る非常に危険な行為です。

  • 背景には、生きづらさや精神的な辛さから逃れようと、風邪薬や咳止め薬を精神安定のために大量に摂取してしまう心理があることが説明されました。

🚫 薬物乱用は「不正な使用」

薬物乱用とは、医薬品を定められた目的・用法・用量を守らずに使用することです。

  • 風邪薬を「効かないから」と多めに飲むことも乱用にあたります。

  • 違法薬物だけでなく、市販薬でも誤った使い方をすれば乱用になります。

  • 乱用は「使いすぎ」だけでなく、たった1回でも不正な使用をすれば該当すると定義されました。

🚪 ゲートウェイドラッグ(入口の薬物)

より危険な違法薬物へ手を出す「きっかけ(入口)」となる物質をゲートウェイドラッグと呼びます。具体的には、お酒、タバコ、エナジードリンクなどが挙げられ、未成年での使用が禁止されている理由(心身への悪影響が大きい)を再認識しました。

⛓️ 薬物依存症がもたらす損失

薬物乱用を続けると、薬なしではいられなくなる薬物依存症になります。薬物乱用がもたらす損失は健康だけにとどまりません。

薬物乱用が失うもの:

  • 健康

  • 友人との信頼関係

  • 家族など大切な人

  • 自分の将来の夢や、やりたかったこと

  • 全ての可能性

3. 薬物から自分自身を守る3つの行動

最後に、薬物の誘惑から身を守るための具体的な行動を学びました。

  • 甘い言葉を疑う: 「楽して痩せられる」などの怪しい話や、SNSの情報を安易に信じない。

  • 「使わない、近づかない」を徹底する。

そして、最も重要な薬物を断る3つの行動を強く心に刻みました。

  1. はっきりと断る: 曖昧な態度をとらず、明確に「いらない」「やらない」と拒否する。

  2. その場から離れる: 危険な状況や誘いのある場所からすぐに立ち去る。

  3. 周りの大人に相談する: 信頼できる大人(親、先生、学校薬剤師など)にすぐに相談する。

結び

今回の授業を通じて、児童たちは薬の持つ力と、使い方を誤った時の恐ろしさ、そして薬物乱用が将来の全てを失うことに繋がるという現実を深く理解しました。正しい知識を持ち、誘惑に負けず、勇気を持って「断る」ことの重要性を改めて学んだ貴重な時間となりました。