「美しい心」と「汚い心」は共存できるか?──理想論を超えた、リアリティある心の育て方
- 公開日
- 2026/02/05
- 更新日
- 2026/02/05
研修
本日本校の校内研究の講師であるAII Heros 代表の中山 芳一先生に2時間目に小学3・4年生を対象に道徳の授業を実施していただきました。「美しい心」という題材でオリジナルの授業を実践していただきました。
従来の定型的な結論を覆し、人間が誰しも持っている「汚い心」といかに向き合い、共存していくかという本質的な問いに挑んでいただきました。
1. 授業の導入:「心」は「行動」に現れる
授業は、学年・クラスを解体した3・4年生で4人組グループを作ることから始まりました。(すぐにグループを作ることができ、感動しました。) まず、「心は必ず行動に現れる」という前提のもと、対義的な2つの心について具体的な行動を出し合いました。
美しい心を持つ人の行動:困っている人を助ける、一人ぼっちの子を誘う など
汚い心を持つ人の行動:自己中心的、失敗を笑う、責任転嫁、ズルをする など
ここまでは一般的な道徳授業の流れですが、ここから議論は大きく転換します。
2. 問いの転換:「ずっと美しい心」なんて無理じゃない?
中山先生は一度、「脳科学的には美しい心(協力行動)の方が脳に良い」という説を紹介し、「だから美しい心を持ち続けよう」という結論を提示しかけます。しかし、即座に「先生はそう思わない」と異を唱えました。
「君たちは本当に、ずっと美しい心の行動を続けている?」
この問いに対し、子どもたちは「無理だ」と反応。 ここで授業のテーマは、「美しい心を目指すこと」から、「誰しもが持つ『汚い心』と、どう現実的に付き合っていくか」へとシフトしました。きれいごとではない、人間の本質に迫る議論のスタートです。
3. 本質的議論:「汚い心」との付き合い方
「汚い心を持ってしまうのは仕方がない。では、どうするか?」という問いに対し、児童と参観していた教員から多様な「処世術」が出されました。
子どもたちのアイデア:バランスと努力
割合で管理する:「美しい心70%・汚い心30%」のように、自分が暴走しない比率を保つ。
自己研究:自分にとって最適な心のバランス(8:2など)を見つける。
点検と削減:汚い心の存在を認めた上で、少しずつ減らす努力をする。
教員たちのリアルな実践知
包み込む:他者の汚い心に対し、自分の綺麗な心で包み込んで連鎖を止める。
使い分け:家族になら甘えてもいい(ケーキを多く食べる等)など、時と場合で許容範囲を変える。
行動のみを見る:内面のドロドロはさておき、「行動」だけは理想に近づける。
リセット法:信頼できる人に愚痴る、美味しいものを飲んで寝て忘れる。
ルーティン:決まった行動で心を整える。
子どもたちが「割合」で論理的に解決しようとしたのに対し、大人たちは「発散」「忘却」「行動の切り替え」など、より実践的なメンタルコントロール術を提示した点が印象的でした。
今回の授業は、「汚い心」を否定するのではなく、「あって当たり前のもの」として受け入れ、その制御方法を学ぶという、極めて実践的でリアリティのある内容でした。
「美しい心でありたい」と願う一方で、そうあれない自分に苦しむのではなく、「汚い心とどう共存するか」という視点を持つこと。
それは、子どもたちが大人社会を生きていく上で、非常に強力な武器になるはずです。
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