第5回定例校長会での挨拶
- 公開日
- 2024/08/30
- 更新日
- 2024/08/30
教育長・副教育長・部長 あいさつ
(前略)
●最後のお話は、出口治明(でぐち・はるあき)さんのお話です。
出口さんは、日本生命を退社後、「60歳は折り返し地点にすぎない」と還暦の60歳でライフネット生命を創業し、社長・会長を10年務めたのち70歳で退社されました。
退社後、古稀の70歳からは、「人生は後半戦が勝負」と立命館アジア太平洋大学(APU)の第四代学長となり、2021年1月には脳出血で倒れてもリハビリに取り組み、車いすやタブレット端末を使いながら2023年12月まで学長職を務められました。
この夏、こんな経歴を持たれている出口さんの著書を読み、出口さんの生き方・考え方に強い感銘を受けました。
最初の一冊は、「面白い本があります」と高山課長から教えてもらいました。その本の題名は「『教える』ということ」でした。
少しだけ紹介します。
□日本を救う「尖った人」を増やすには、以下の3Cを大切にしなさい。
Challenge(挑戦)
Collaboration(協働)
Contribution(貢献)
□何事かを成し遂げるには4つのPが必要
Purpose(目的)
Passion(情熱)
Peer(仲間)
Play(遊び)
人生を楽しんでいなければいい知恵は出ない!
□子どもに教えることは、2つしかない。
(1)人生の役に立つこと
例えば、お金の使い方、お金の増やし方、選挙での投票の仕方、税金の考え方、社会保障など→これらは「生きるための武器」になる。
(2)考える力
・ロジカル・シンキングを養うこと
・自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見が言えるように育てることが、「変動・不確実・複雑・曖昧」で予測困難で不確実な時代、VUCAの時代を生き抜く力になる、と喝破されています。
最後に、今の教育現場への提言もありました。
昔から伝わる言葉に「失敗は成功のもと」「失敗は成功の母」という名言があります。人は失敗から学び、さらに考えを深めてゆきます。今の教育現場を見てみますと、決められた設問への解を最短で出す方法、「こうすればうまくいく」「失敗しない」ことを学ぶ方法ばかりです。
しかし、他の人の成功事例をマネすることが、必ずしも自分の成功を約束するものではなくなったのが今の時代です。昨日までの成功は、今日の成功を意味しません。そのような時代に大切なのはやはり『創造力(creativity』です。
創造力を身につける上で、まず第一に必要なのは、決められた課題に解を出すことではなく、自分で課題を設定する能力です。
与えられた課題の答えのみを最短の道のりで出していく、今の日本人が慣れ親しんでいる学習法では、少なくとも今の時代に求められている『真の創造力』を身につけることはできません、と記されています。
それでは、どうすれば『真の創造力』が身につくのでしょうか?
皆さんはもうお分かりですよね。
冒頭に述べたお話、つまり教科用図書採択をする上で重要視した4つの視点とつながっています。
教育に特効薬はありません。日々の地道な授業の積み重ねの中に、様々な課題を解決するための答えが隠されているのです。